お盆は、故人の霊を迎え、供養するためにお供え物や提灯を用意する重要な時期です。特に、四十九日の忌明け後に初めて迎える「新盆(初盆)」は、特別な供養が行われるため、丁寧な準備が求められます。
この記事では、お盆に関連する基本的なマナーや知識、そして新盆(初盆)特有の習慣について詳しく解説します。
初盆とは
初盆、または「新盆(にいぼん)」とは、故人が亡くなった後に初めて迎えるお盆を指します。具体的には、四十九日の忌明け後に迎える最初のお盆がこれにあたります。もし四十九日前にお盆が訪れる場合、翌年に初盆を行うことが一般的です。これは、真言宗や曹洞宗など、浄土真宗以外の多くの仏教宗派で見られる慣習です。
地域によって初盆の呼び方や読み方が異なり、「新盆」を「しんぼん」や「あらぼん」と呼んだり、「初盆」を「はつぼん」や「ういぼん」と言ったりしますが、意味は同じです。
初盆と通常のお盆での香典・お供え物の金額の違い
初盆と通常のお盆で異なる点の一つに、香典の相場があります。一般的に、初盆では香典の金額が高めに設定されることが多いです。
故人との関係性や年齢にもよりますが、初盆では5,000円から1万円、二年目以降のお盆では3,000円から5,000円が相場となっています。特に、故人が親や兄弟など近親者の場合、1万〜3万円を包むこともあります。
お盆という仏事においては、あまりに高額な金額を包むのも適切ではありません。ただし、地域や家庭の宗派によって考え方が異なることがあるため、初めてその家庭の仏事に参列する場合は、事前に確認しておくと安心です。
法要後に会食が予定されている場合
法要後に会食が行われる場合があります。会食に参加する際は、会食費用も香典に含めて包むことが一般的です。追加の費用として、お膳代相当の3,000円から1万円が相場です。家族で参加する場合は、人数分の食事代を含めるように、多めに準備しておきましょう。
ただし、会食の習慣は地域や家庭によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
新盆(初盆)の参拝マナー
新盆(初盆)に参拝する際には、故人への敬意を示すためにお供え物を持参することが一般的です。以下の3つの方法から選ぶことができます。
- 香典(現金)をお供えする
- 香典の代わりにお供え物を持参する
- 香典とお供え物の両方を準備する
地域ごとに異なる習慣があるため、事前に確認しておくことが重要です。一般的には、法要日やお盆の期間中にお供えを持参するのが適切です。訪問のタイミングとしては、お盆の入りである8月13日や、14日が一般的です。
もし参拝が難しい場合でも、同じ時期にお供え物を配送すれば問題ありません。
香典袋の使い方と選び方
香典袋(不祝儀袋)の選び方や書き方は、宗派や地域によって異なります。分からないことがあれば、周囲に尋ねたりするなどして、参列する法要に合った香典袋を用意しましょう。
香典袋は、不祝儀袋とも呼ばれ、黒や白の水引が付いたものを選びます。水引が結び切りになっているのが特徴で、二度と繰り返さないという意味が込められています。
香典袋に使われる水引の色や種類にはいくつかあり、白黒や青白、青灰などがあります。包む金額に応じて水引を選ぶのが一般的で、1番少額の場合は、水引が印刷された袋を使い、約5,000円を包むことが多いです。
一方、左右両方に銀色が施された双銀の水引は、3万円以上の金額を包む際に使います。関西地域では、黄銀や黄白の水引を使うこともあるため、香典袋を購入する前に親族に確認しておくと安心です。
表書きと氏名の書き方
香典袋の表書きには、いくつかの種類があります。「御供物料」は、宗教や宗派を問わず使用できる表書きです。「御霊前」も一般的ですが、浄土真宗や曹洞宗では使用しません。もし、御提灯代を包む場合は、「御提灯代」と記入します。
氏名は水引の下にフルネームで記入します。夫婦で連名にする場合は、中央に夫の氏名、その左に妻の氏名を書くのが一般的なマナーです。
3名以上の連名で香典を包む場合、代表者の名前を記載し、その横に「同志一同」と書きます。他の名前は別紙に記入し、香典袋に同封しましょう。
香典の記入とお札の扱い
お盆の法要に使用する香典袋には、薄墨ではなく黒墨を使って記入しましょう。通夜や葬儀では薄墨が使われますが、お盆はあらかじめ予定されている法要のため、黒墨で記入するのが適切です。
また、香典に使用するお札は、新札を避け、使用感がありながらもきれいなものを選びます。新札しかない場合は、軽く折り目をつけて使用するのがマナーです。しわが多かったり、汚れているお札は避けましょう。
金額を設定する際には、「忌み数」を避けることが重要です。4や9といった数字は不吉とされるため、これらの金額を避け、また偶数の金額も好ましくありません。
香典袋にお札を入れる際は、必ずお札の向きをそろえます。中袋がある場合は、金額を大字で記入し、現金を中袋に入れてから香典袋に収めます。お金を入れる向きは、中袋を裏返して開いたときに、お札の表(肖像画が描いてある方)が上になっている状態となるよう入れるのが一般的です。
香典の渡し方
お盆の法要で香典を渡す際は、香典袋を袱紗に包んで持参します。袱紗は、紺や緑、グレーなどの寒色や無彩色のものが仏事に適しています。紫色の袱紗は、慶事でも仏事でも使えるため、迷った場合は紫を選ぶと良いでしょう。
会場で袱紗を開き、表書きを相手に見えるようにして、香典袋を渡します。その際、「御霊前にお供えください」と一言添えて渡すのがマナーです。
初盆と四十九日が重なる場合
お盆の時期と四十九日が重なることもあります。一般的なお盆の期間(8月13日~8月16日)を考えると、6月25日から6月28日の間に亡くなった場合、四十九日法要とお盆が重なることになります。このような場合、四十九日法要は亡くなった日から49日を超えない範囲で行えばよいため、お盆より前に法要を行うことは可能です。
四十九日がまだ済んでいない場合は、初盆を翌年に行うか、初盆と四十九日法要を同年に行うかを、地域や家族の習慣に応じて決めることができます。
お盆のお供えの基本・五供(ごく)
お盆のお供え物には、「五供(ごく)」と呼ばれるものがあります。これには、香、灯明(とうみょう)、花、浄水、飲食(おんじき)の5つが含まれ、それぞれを仏壇やお供え棚に飾ります。棚には真菰(まこも)を敷き、青竹を四隅に立て、しめ縄を張るのが一般的です。また、位牌や故人の好物を供えることもよく行われます。
新盆(初盆)のお供え物の定番
お線香やお花、消耗品のギフトが一般的です。のし紙は、白黒の結び切りで表書きには「御供物」と記し、外のしで用意するのが一般的です。
避けるべきお供え物
仏教の教えに基づき、魚介類や肉類などの生ものは避けた方が良いとされています。また、故人が生前好んでいたものを贈ることは、喜ばれる場合もあれば、お供え物をきっかけに故人との思い出を強く意識した遺族が深く悲しむ可能性があるため、避けるべきとする意見もあります。遺族の心情を尊重し、慎重に選ぶことが大切です。
まとめ
初めての「新盆(初盆)」は、故人が亡くなった後、最初に迎える特別なお盆であり、通常のお盆よりも丁寧な供養が求められます。参拝時には、地域の習慣を考慮しつつ、香典やお供え物を適切に用意しましょう。香典の相場は初盆では高めに設定され、会食がある場合はその費用も含めてお渡しします。また、香典袋の選び方や表書き、包む金額にも細やかな配慮が必要です。お盆は故人を偲び、遺族への心遣いを示す大切な機会であり、マナーを守って参列することが大切です。